2023.02.02

これぞまぐろ問屋の本気!城ヶ島の新名物フィッシュ&チップスを「FISHSTAND」で

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これぞまぐろ問屋の本気!城ヶ島の新名物フィッシュ&チップスを「FISHSTAND」で

フィッシュフライとポテトフライがどっさりと盛られた「フィッシュ&チップス」。知ってはいるけれど、日本ではまだまだ食べる機会の少ない料理の一つかもしれない。

そんなイギリスを代表するソウルフードが、三崎からほど近い「城ヶ島」で食べられるようになった。
老舗まぐろ問屋が満を持してオープンさせた店の名は「FISHSTAND」。
大トロを用いた熱々の特大フィッシュフライと、二度揚げされたカリカリほくほくのポテトフライ。そこにヴィネガーをたっぷりかけて頬張ると……これが文句なしに美味しい!

小腹が空いたら城ヶ島に向かい、大自然の中で新名物の絶品フィッシュ&チップスを。
新たな三浦観光スタイルの提案です。

メイン通りから一本奥へ

城ヶ島は、三崎港の真向かいにある小さな島。三崎港の中心地から車なら10分足らず。バスや自転車、渡し船でも気軽に訪れることができる、神奈川県の最南端に位置する自然豊かな島だ。

「FISHSTAND」は、城ヶ島で約50年まぐろ問屋を営む「三崎恵水産」が昨年オープンさせたフィッシュ&チップス専門店。観光客で賑わうメイン通りから一本海側の道に入ると、北欧の港町にでもありそうな端正な佇まいのお店が見えてくる。

まぐろ問屋「三崎恵水産」の一角に「FISHSTAND」はある

この地ならではの進化系フィッシュ&チップス

まぐろのプロが手掛けるだけあって、「FISHSTAND」のフィッシュ&チップスは従来のそれとは一味も二味も違う。

フィッシュフライには白身魚を用いるのが一般的だが、「FISHSTAND」ではまぐろの「ハラモ」と呼ばれる部位の大トロの身を使用している。

フィッシュフライの大きさにびっくり!
レギュラーサイズとラージサイズの2種類

身に筋(スジ)が密集しているため、高温で揚げても固くならない。揚げたてのフィッシュフライをひと齧りすると、脂の甘味が口の中にじゅわっと広がる。
これまで食べたことのあるフィッシュ&チップスとは、ジューシーさが明らかに違う……!

ヴィネガーをたっぷりかけて食べるのがお勧め

店頭で販売もされているヴィネガーは、京都で130年続く飯尾醸造による「富士手巻きすし酢」。程よい甘みと酸味があり、旨味の濃いお酢。フィッシュ&チップスとの相性は抜群だ。

オリジナルのディップソースには、鎌倉のスパイス商社「アナン」と共同開発した「フィッシュスパイスソルト」をベースとして使用。タルタルディップ・サルサディップ・カレーマヨディップの3種類がある。

まずはそのままハフハフしながら食べて。次はヴィネガーをかけて。最後にオリジナルのディップソースをつけて……食べ方のバリエーションが豊富だから、最後のひと口まで飽きることなく楽しめる。

フィッシュスパイスソルトも店頭で販売

豊かな食のあり方を発信

販売しているのはフィッシュ&チップスだけではない。
お店のオープン以前からオンラインショップで販売している人気商品が、パウチになった魚のコンフィ。FISHSTANDの店頭でも購入できる。

コンフィは、まぐろ・かじき・さばなどの計9種類

そのまま食べても美味しいけれど、お店の提案するアレンジレシピを見れば、気軽にいろんな料理を試すことができる。
すぐに味が決まるありがたい存在だ。

パスタと合わせても、とっても美味しいぞ!

まぐろに合う調味料もたくさん
コーヒーはオリジナルブレンド。ドリップバックで購入もできる
ショッパーもおしゃれ。お土産として渡しても喜ばれそう

ドリンクの種類も豊富に揃えている。この日は、季節の酵素ソーダと発酵クラフトコーラを注文してみた。


酵素シロップは、お店のロゴデザインや空間のディレクションも手がける、アートディレクターで酵素シロップ作家の杉本雅代さんによるもの。さっぱりと爽やかな風味が、揚げ物にもよく合う。

食品添加物や化学調味料を使わないこと、環境に負荷をかけない素材選びも「FISHSTAND」のこだわりの一つ。「まぐろを通して〝次世代につなぐ豊かな食文化〟を伝えていくことが、恵水産の創業からの一貫した理念なんです」と石橋さんは話す。

ロンドン留学から就職。そして城ヶ島へ

石橋さんは茨城県日立市出身。三浦の雰囲気に似た、海に面した街で生まれ育ったそうだ。

フィッシュ&チップスと出会ったのは大学時代、ロンドンに1年間留学した時。
「学生だからお金もなくて、贅沢な食事はできません。そんな中で、気軽に食べることができたのがフィッシュ&チップスでした。数ポンドで買える山盛りのフィッシュ&チップスにヴィネガーをたっぷりかけて食べると、たまらなく美味しかったんです」

FISHSTAND代表の石橋悠さん

帰国後、日本の独特な就活文化に溶け込めずにいた石橋さんは、ロンドンでの繋がりから音楽系フリーペーパーの制作会社に就職することに。
その後、広告代理店で大手企業のプロモーションなどのアシスタントをつとめ、26歳で三崎恵水産の2代目となる匡光さんと結婚。仕事を辞めて、三浦へと移り住むことになった。

約10年間、3人のお子さんを育てながら忙しい日々を送っていた石橋さん。
匡光さんからの提案をきっかけに、「まぐろコンフィ」などのオリジナル商品を開発し、オンラインでの販売を始めた。

「コンセプトを決めたり、ロゴをつくったり、新しい食ブランドをゼロから立ち上げていきました。そこでは、制作会社での経験が活かされたと思います。料理は独学し、商品のレシピもすべて自分で作っています」

手渡せる場所を求めて

恵水産の販売するコンフィは、三崎・城ヶ島エリアの人気商品に育っていった。
一方で、石橋さんの中では「オンラインショップだけでなく、お客さまの顔を見て、直接手渡せる場所が欲しい」という思いが募っていったという。

「やる以上は、城ヶ島全体がより盛り上がっていく一助になることをしたい。この街に訪れるきっかけになる商品を生み出したい。そう思ったんです」

すでにある飲食店などと競合せず、街に良い循環を生み出せるお店ってなんだろう?
フィッシュ&チップスのお店なら、ご飯ものやスイーツ系のお店と補い合いながら共存できるのではないだろうか。

そう考えた時、石橋さんの頭に浮かんでいたのは、留学中に食べたあの味だった。

「当時イギリスで食べていたフィッシュ&チップスは、いわばファーストフードでした。目指しているのは、私たちならではのまぐろと、信頼できる良質な食材とを用いることで、それを〝スローフード〟に昇華させることなんです」

再発見した城ヶ島の魅力

「FISHSTAND」から対岸の三崎港を望むと、視界を遮るものがなにもない。右手には城ヶ島大橋がまっすぐ伸び、空高くトンビが飛んでいる。

石橋さんにとってはずっと当たり前だった景色。しかし、お店の窓を通して見ることで、ここが特別な〝一等地〟だったことに気づいたそうだ。

「客観的な視点で城ヶ島を見る機会が生まれたのでしょうね。以前まで、私がこの風景から受け取る空気感は陰でした。でも、お店を始めてから〝陽〟に変化したんです。そのことに自分でも少し驚きました」

「FISHSTAND」のみなさん

お店ができたことで、これまで観光客の少なかったエリアに新たな人流が生まれた。同時に、偶然立ち寄った人にとっても特別な思い出になることを石橋さんは願っている。

「バックパックを抱えた北欧の方が、たまたまお店に寄ってくれたことがあって。『たまに城ヶ島に来るけど、この辺りまで歩いたことはなかった。お店を知ることができてすごくラッキーだ』と言ってくれたんです。その言葉が私は嬉しくて。旅先で図らずも良いお店を見つけてハッピーなのって、すごくいいですよね」

島の自然のかたわらに。

石橋さんの勧めに従って、「FISHSTAND」のテイクアウトボックス片手に城ヶ島を散策することに。

歩くこと10分ほど。両側にお土産物屋さんや飲食店が立ち並ぶ細い通りを抜けると、むき出しの岩場が視界いっぱいに広がった。

ここは「長津呂の磯」と呼ばれる城ヶ島の人気スポット。釣り場としてもよく知られた場所だが、迫力のある景色に思わず息を飲む。
こんなにも荒々しくて美しい自然の光景を首都圏で見られるなんて驚きだ。

人は観光地を訪ねると、気が付かぬ間に歩き疲れてしまうもの。そんな時に足休めがてら、ぼんやりと過ごすひとときがあれば、いつもよりもちょっとだけ豊かな旅になるかもしれない。

「城ヶ島の自然の美しさをもっとたくさんの人に知ってほしい」と話す石橋さんのおすすめスポットは「城ヶ島公園」。海に囲まれた公園からは、房総半島や伊豆半島、富士山などが一望できる。ピクニックスペースもあるので、天気のいい日にぜひ立ち寄ってみてほしい。

「何をするわけでもなく、自然の中でただ心地よい時間を過ごす。そのかたわらに、地元で調達できる美味しい食べ物があれば素敵ですよね」

そんな石橋さんの言葉通り、抜けるような青空と雄大な自然の中で食べたフィッシュ&チップスは格別だった。

体が休まり、小腹も満たされたら、再び三崎や城ヶ島を散策して。気がつくとまたお腹が空いて、夕食には別の美味しいものを。
そんな過ごし方ができれば、三崎・城ヶ島の魅力をこれまで以上に味わえること間違いなし。

三崎・城ヶ島に訪れる際は、ぜひお腹を空かせていらしてくださいね。ここにしかない美味しい記憶と特別な体験をたくさん持ち帰れますように。

information

店舗名:FISHSTAND

所在地:三崎町城ヶ島658-142

お問合せ:0120-391-096

営業時間:10:00〜16:00

営業日:木・金・土

駐車場:数台

お支払い方法:現金・クレジットカード・電子決済各種

お店の場所はこちら

矢口 莉子この記事を書いた人矢口 莉子
1995年生まれ、東京都浅草育ち。大学卒業後、出版営業と編集、書店員を経て桑沢デザイン研究所に入学・卒業。2022年の冬に三崎へ移り住み「アタシ社」で働きはじめました。「雑貨屋ハプニング」の店長をしながら、グラフィックデザイナーとしても活動しています。豊かな食体験を重ねることが日課の食いしん坊、好きな食べものは豆と芋とパンです。

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