2020.10.30

三崎のまぐろは目利きが命。仲買人が営む「かね廣」の漬け丼は必食

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三崎のまぐろは目利きが命。仲買人が営む「かね廣」の漬け丼は必食

旅先や観光地で、一度は頭を悩ませたことがないだろうか。
その名も「本当においしいものを安く食べられるのはどの店なんだ問題」。
結局どの店にも独自の個性があり、想像と違ったとしてもそれもまた思い出、旅の醍醐味になるんだけど、旅先での飲食店選びはやっぱりむずかしい。

そんな経験があるあなたに伝えておきたい。三崎に来たなら、一度は「かね廣」の漬けまぐろ丼を味わってみて、と。こじんまりとした店内でいただくシンプルな漬け丼は、職人の目利きとこだわりが光る。ひと口食べれば三崎に来てよかったと思わせてくれる……そう約束しよう。

三崎に通いはじめて5ヶ月。まぐろ気分の日は決まって「かね廣」に吸い込まれていくわたくし、古矢 美歌が紹介します。

地元民も信頼を置く、まぐろの仲買人が営むお店

オープンしてから4年目になる「かね廣」。長年まぐろの仲買人として働いてきたオーナーのやすさんは生粋の三崎人で、親の親の代からまぐろ屋だという。幼い頃から、三崎港と商店街のそばで暮らしてきた。

仲買人だったやすさんがお店を持つことになったきっかけは、同級生の「ここの物件空いたけど何かやれば?」という一言。

そのときはタイミングが合わず違う人がお店を始めたが、翌年にまた空きに出ていて、結局この場所でお店を開くことになったのだ。

お店入口。暖簾がオープンの印
カウンターの右奥にも客席がある

やすさんは今も現役で仲買人をしているため、お店の営業は土日のみ。平日は三崎港に辿り着いたまぐろをせりで見極めて買い、小売店や市場に卸す。まさに、まぐろ目利きのプロなわけだ。

そんなやすさんが最初に始めたのは、まぐろ料理を楽しめる居酒屋。ねぎま鍋などを提供し、地元の人にも人気だったが、現在は週末のお昼だけ営業するまぐろ丼のお店として営業している。

お店を始める前、甘味屋も考えていたらしい

「地元の人にとっては、まぐろって貰うもんなんだよ。わざわざ食べに行ったりしない。でも、うちは地元の人もリピートしてくれてさ、みんな意外とうまいうまいって食べてくれるんだよなあ」

【グルメ兄弟から一言】

地元の人がわざわざお金を払ってまで食べるのは、本当においしい証拠。畳の小上がりで、8席だけの小じんまりした規模というのも、知っているとツウな気分になるね!

遠方から来るリピーターのお客さんには、週末にふらっとドライブがてら三崎に来て、「かね廣」でまぐろ丼だけ食べて帰る人もいるほど。このエピソードに、かね廣の実力とやすさんのフランクな人柄が伺える。

そもそも良いまぐろってどう見分けるの……?

当然、まぐろの目利きなんてしたことがない筆者。どんな風に漁港に着いて、各店がどのように仕入れているのかもわからない。まずはおいしいまぐろの見極め方を聞いてみた。

「色味と肉質、脂の乗り具合を見るんだよ。市場では、凍ってるまぐろの尻尾を切って解凍したものの断面を見る。あとはどの時期にどの場所で獲れたかによっても違ってくるから、市場で船頭と情報交換をしたりもするね」

まぐろは遠洋漁業だから、釣ってすぐにマイナス60℃に冷凍される。三崎港に着くのもカチカチの状態。そこからどう良いものを見極めて仕入れるか……これこそ職人の目利きなのだ。

やすさん自ら選んだめばちまぐろを使用

そしてまぐろは安い買い物じゃないから、“刺し盛りのなかに少しあればいい”のか、“主役として食べてほしい”のか、お店での立ち位置によって、まるごとや部位ごとなど仕入れ方が変わる。
まぐろ漬け丼しか置いていないかね廣はもちろん、まぐろのおいしさが一番大切だ。

8席という小さなお店にも関わらず一頭買いをし、まぐろが新鮮なまま保管できる専用冷凍庫を使用している。仕入れから保管、食べ頃への状態に戻すまですべて自分でできるプロだからこそのクオリティなのだ。

まぐろのうまさを最大限に活かす、こだわりの漬け丼

かね廣の漬け丼は、上質なまぐろのおいしさを味わうためのシンプル仕立て。薬味も最小限でわさびも添えていない。

漬けといえどもタレに漬け込まず、サッと絡めるだけ

「めんどくせえのが嫌いだから、簡単に作れるようにしてんだよ」と言うが、自らもまぐろが大好きというやすさんのこだわりが詰まった漬け丼は、シンプルだからこそご飯とまぐろのバランスがすばらしい。

“あずま丼” とよばれるスタイルで、酢飯ではなくあたたかい白ごはんを使用。お米は宮城県産のひとめぼれをガス釜で炊き上げる。その上に約3日間熟成させたまぐろ。まぐろは特製のタレをサッと絡めていて、このタレが少し甘くて本当にごはんによく合う。

めばちまぐろの赤身と中トロも使っていて、頃合いまで熟成させているだけあり、身がとてもしっとり。口のなかで上質な脂がとろけていくような、ねっとり感もある。まぐろの厚さも絶妙でこれ以上薄いと物足りず、厚いと食感が変わってくる。

どのメニュー(大きさ)も、漬物と味噌汁がつく
左は並盛、右が特盛

そして驚くことなかれ。この漬けまぐろ丼の値段は、「並盛(1,100円)」、「大盛(1,300円)」※ごはんが大盛り、「特盛(1,800円)」※まぐろが1.5倍でごはん大盛り。

仲買人自らが目利きし、一頭買いをした上質なまぐろの丼がこのお値段。それでいて、赤身だけでなく中トロも半分入っている。これはもう、一度体験しない理由がないのではないか。

ちなみに、やすさんのお子さん(小学生の女の子)も目利きができるらしい。かね廣の漬け丼やおいしいまぐろは食べるけれど、鮮度が落ちたものや安モノは手をつけてくれないんだとか。

実は裏メニューなんかもあったりして。ビールも飲める

やすさんは、三崎のことならなんでも知っている。そして、気の利いた創作料理なんかにも詳しく、それでいてグルメだ。

お昼はまぐろ丼を食べながら、やすさんにその後のプランや夕食のお店を相談するのもいいかもしれない。キュートな垂れ目と三崎弁で、やさしく教えてくれる。

Information

店舗名:かね廣

所在地:神奈川県三浦市三崎4-9-6

お問合せ:Facebookのメッセージのみ

営業時間:11:00〜15:00(限定20食位)

定休日:月〜金曜(土日のみ営業)

駐車場:なし

お支払い方法:現金

席数:カウンター8席(現在は6席)

古矢 美歌この記事を書いた人古矢 美歌
1992年生まれ、大阪府出身。カフェ店員、フードコーディネーターを経て、飲食業界専門の人材サービスでキャリアアドバイザーを3年。ウェブサービスのライター兼コミュニティ担当としてイベントの企画運営を3年。料理・執筆・企画の経験を生かし、現在は食のメディアで編集者&フードスタイリストとして働く。三崎に惚れて、東京と二拠点生活中。

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