2020.11.02

「おろ抜き」は市場に出回らない秘密の野菜|三浦野菜の旬とおいしい見分け方

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「おろ抜き」は市場に出回らない秘密の野菜|三浦野菜の旬とおいしい見分け方

三浦市は全国屈指の農業エリア。温暖な気候と海のミネラルを含んだ土で、三浦大根をはじめさまざまな野菜が作られています。この連載は、三浦市宮川町で「下里ファーム」を営む3代目、下里健城さんによる「今食べたい旬の三浦野菜」を紹介していただきます。

食べごろの野菜の特徴と、オススメの食べ方から豆知識まで、三浦野菜を知って食べる美味しい連載!

おろ抜きは、おいしい大根を作る過程の副産物

「このあたりでは、間引きのことをおろ抜きって言うんですよ。三崎では当たり前のように使われてきた言葉だけど、ならではの言葉なのかもしれないっすね」

健城さんの話によると、“おろ抜き”という言葉はどうやら三浦・三崎では当たり前に使われ、知らない人はいないといったところ。その正体はなんぞやと聞くと、どうやら、大根の間引き菜のことをいうようだ。

形が良くおいしい大根を作るため、多めに種を巻き、ある程度葉っぱが伸びてきたら良く育っているほうを残して葉を間引く。この「間引いたばかりの新鮮な葉=おろ抜き」は、捨ててしまう農家もいるので、決して贅沢なものではない。でも「おろ抜きが好き!」という農家や地元民も多いんだそう。

大根農家はみんな持ってる、“おろ抜き専用カー”
大根になるはずの小さな根っこがちらり

三浦の冬を代表する野菜といえば大根。

まっすぐ寸胴な形をした一般的な「青首大根」と、おしり部分が特に大きな名産三浦大根の、大きく2種類に分けられる。おろ抜きは、青首大根の間引き菜だ。

「おろ抜きが食べられるのは、作業がおこなわれる10月〜11月の頭くらいまで。でも、市場やスーパーに出回ることはほぼないです。売り物にするために整える手間がもったいないから、自分たちで食べたり人にあげたりするんですよ。おろ抜きはそういう、地域で消費しちゃう野菜ですね」

1束で15〜20cmほど、茹でるともっと小さくなる

まさに、秋の三浦だけで完結してしまう隠れた野菜。その味は、大根の葉っぱを想像していただくとわかるが、甘くもなく苦すぎるわけでもない、ほうれん草よりは小松菜に近い。シャキッとハリがある、青菜の一種といった感じ。

根は食べないことが多く、カットされる

どこに行けばおろ抜きに出会えるの?

「ん? うちに来てくれたらいくらでもあげますよ!」

なんと。下里ファームに行くともらえるらしい。……ただ、今年のおろ抜きはもう終わってしまったらしいので、いくつか出会えるかもしれないプランをご紹介。

まずは地元の飲食店で聞いてみること。地元間で流通されるだけに、この10.11月は飲食店も持っていることが多い。メニューになっていないこともあるけれど、「おろ抜きってあったりします……?」と聞くと、運良く出てくるなんてことがあるかも。

続いて、直売所で尋ねてみること。市場やスーパーでは売っていないが、農家さんが持っていることは多い。三浦・三崎あたりを車で走っているとたまに直売所があるので、覗いてみたり、そこにいる人に声をかけてみるのもいいかもしれない。

11月に差し掛かると、おろ抜きを終える農家さんも多い。お目当ての場合は早めに三崎に来るといいかも!

お浸しに炒め物、何にしてもおいしい

「生のままだと長く持たないから葉っぱを洗って、塩を振って押すのを繰り返して、“塩押し”を作るんです。こうしておけば長く持ちますし、すぐに料理にも使える。僕は、塩押ししたものを刻んでごはんにぶっかけて、すだち汁とかつお節と醤油をかけて食べるのが一番好きですね!」

塩押ししてぎゅっと絞って保存しておく

私もいただいたおろ抜きをいろんな方法で調理してみた。サッと茹でてお浸しにしたり、味噌汁に入れたり。

さばの煮付けに添えた、おろ抜きの根と、お浸し

捨てられることが多いという根っこ。魚の煮付けを作るときに一緒にサッとだけ煮てみたら、ちょっと副菜が増えた気分で嬉しい。酢漬けにして、ピクルス感覚でぽりぽり食べるのもいい。こりゃおろ抜き、結構いろんなものに使えそうな予感。

採れたて新鮮な状態を地元だけで食べているという、秋の三浦・三崎ならではの味覚。おろ抜きを味わうことができたなら、これであなたも三浦ツウに一歩近づいた証!ぜひご賞味あれ!

Information

会社名:下里ファーム

所在地:神奈川県三浦市宮川町12-18

お問合せ046-881-4485

メール:info@shimozatofarm.jp

facebook:下里ファーム

古矢 美歌この記事を書いた人古矢 美歌
1992年生まれ、大阪府出身。カフェ店員、フードコーディネーターを経て、飲食業界専門の人材サービスでキャリアアドバイザーを3年。ウェブサービスのライター兼コミュニティ担当としてイベントの企画運営を3年。料理・執筆・企画の経験を生かし、現在は食のメディアで編集者&フードスタイリストとして働く。三崎に惚れて、東京と二拠点生活中。

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